アラフォースポーツライターの日米プロ野球コラム

国内のプロ野球からメジャーリーグについてまで盛り沢山!

落合の中日監督復帰は二度とないのか?

 中日ドラゴンズの監督を8年務め、チームをリーグ優勝4回、2007年には53年ぶりの日本一に導いたあの名将落合博満氏のカムバックはもうないのか。今年の1月を以てゼネラルマネージャー(GM)も退任されられ、完全にドラゴンズを去ってしまったが、依然チームは低迷状態が続いている。

 2012年に落合の後を受け継いで就任したのが高木守道氏だ。2012年こそチームは2位だったが、2年目はBクラスだった。その後、谷繁元信氏(捕手)が選手兼任として監督に就任したが、例年Bクラスで、昨年シーズン途中で解任されてしまったわけである。終わってみれば昨年は19年ぶりの最下位だった。

 今シーズンから監督に就任したのは、ヘッドコーチとして谷繁前監督を支えてきた森繁和だが、今日24日現在チームは最下位で、下馬評通りだ。

 落合元監督の野球といえば、打線が打てなくても、相手のミスで1点取ったら、その1点を最後まで守りきって勝ちにいくことに徹底していた。試合に勝つことが最大のファンサービスだとも本人は言っている。現にチームを4回リーグ優勝に導いており、当時の中日は常勝軍団と言われ、まさに黄金期だったわけである。

 そもそも野球というのは、ピッチャーとキャッチャーとで組むバッテリーがしっかりしていれば、進塁を許すことはないはずである。たとえ一人ランナーを出してしまっても、生還させなければいいわけであって、四死球を与えたり、エラーするようなこともせず、ヒットやホームランも打たれなければ、失点を許すことはないはずである。落合野球とは、そういった守備を徹底した野球で勝ち抜いてきたわけである。

 試合に勝つという結果が全てと落合本人は言っているが、こういった野球は面白くないと苦言を呈する人達の声が高まり、球団史上初の連覇を成し遂げたにもかかわらず、その年の2011年オフには、球団は落合との再契約を結ばず、後任に高木守道が就任したわけであり、その落合は2014年にはGMに抜擢されたものの、自身が監督に推薦した谷繁が成果を上げられず、今年の1月を以てそのGMの座からも退くはめになったわけだ。

 落合といえば出身は秋田県で、現役時代はロッテ、中日、巨人、日本ハムでプレーしており、ロッテ時代には史上最年少で3冠王を3回達成していることで有名だ。現役時代も監督時代も実績のある落合だが、中日ドラゴンズの監督復帰は二度とない話なのか。チームは4年連続Bクラス、今年も最下位が予想されているが、こういった暗黒時代が長く続けば、「やっぱり落合しかいない」といった落合待望論が地元名古屋をはじめ、全国のドラゴンズファンの間で沸き起こっても不思議ではないと思うのだが。

イチローが引退する日はイチローのみが知っている

 

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 日本時間で昨日20日、マーリンズイチローが古巣マリナーズの本拠地、シアトルのセーフコフィールドでの対マリナーズ戦の最終打席で放ったホームランがマリナーズファンを大いに沸かせたようだ。シアトル市民にマイクを向けると、多くの人が感動したと答えていた。

 日本のメディアがマイクを向けたからそう答えているのかと思うかもしれないが、イチローにとってマリナーズは11年半プレーしたチームで、特に2004年には地元で、メジャーリーグでは実に84年ぶりとなるシーズン最多安打記録を更新したほどなのだから、シアトル市民でイチローを知らない人はいないはずである。シアトルには移籍後も自宅を構えており、本人も第2の故郷と言っているぐらいである。

 昨日ホームランを放った最終打席で、地元のアナウンサーが「これがイチローにとってセーフコフィールドでは最後の打席になるでしょう」と言っていたが、日本のプロ野球セリーグパリーグがあるように、マーリンズマリナーズはリーグが違うので、普段はめったに対戦することはないわけである。

 さて43歳、日米通算プロ26年目のそのイチローだが、3年前ヤンキースにいた2014年以降のレギュラーシーズンでは、毎年ホームランは1本しか打っていない。従ってここ3年間のデータ通りなら、昨日のホームランが今シーズンでは最初で最後のホームランになるかもしれないわけである。

 今シーズンのこれまでの成績は、11試合に出場し、19打数3安打で打率1割5分8厘である。メジャーリーグもまだ開幕したばかりなのでこれからだろう。

 2013年には日米通算4000本安打、昨年2016年には日米通算4257安打を記録して、メジャーリーグ通算最多安打記録を塗り替えたわけである。プロ野球における通算最多安打数の世界記録としてギネス記録にも認定されたわけであり、世界の王になぞらえて、世界のイチローと言っても過言ではないだろう。さらにアジア人初となるメジャー通算3000本安打も達成しており、他にも数々の記録を残している。

 これまでを振り返ると、年齢に関係なくまだまだ現役を続行してほしいところだが、イチロー本人は「引退する時は死ぬ時だ」とインタビューに答えており、50歳まで現役を続ける意欲も示している。しかしどんな名選手も自身の体力の限界を悟った時、現役を退いている。当のイチローは一体いつ引退を表明するのだろうか。それはイチロー本人のみが知ることなのかもしれない。

 

今年こそ東北勢に深紅の優勝旗を!

 このブログでは、主にプロ野球メジャーリーグについて専門的に取り上げているが、たまには高校野球についても触れてみたい。夏の全国大会までまだ先だが、東北勢の全国制覇が一度もないということもあり、大会が始まるといつも東北勢を応援している。今年も全国大会が今から待ちきれない。

 その東北勢だが、「深紅の優勝旗白河の関を越えない」と言われているように、春夏通じて全国制覇が過去に一度もないのである。決勝戦までは行くが、その決勝戦で強豪校相手にあえなく敗れてしまうのである。

 最近では、一昨年2015年の夏の全国大会で宮城代表の仙台育英が、神奈川代表の東海大相模相手に6-10で敗退。2012年は、青森代表の光星学院が大阪代表の大阪桐蔭と春夏通じて決勝戦での顔合わせとなったが、春の選抜大会では3-7、夏の全国大会では0-3で敗れている。その前年の2011年は東日本大震災があった年で、夏の全国大会の決勝では光星学院西東京代表の日大三との対戦となり、筆者をはじめ、多くの人が被災地である青森県八戸市代表の光星学院を応援したと思うが、結果は0-11での惨敗。

 また2003年には、夏の全国大会決勝で宮城代表の東北と、茨城代表の常総学院が対戦したが、2-4で敗れている。しかもこの時の東北のエースは、現在メジャーリーグで活躍しているダルビッシュだった。

 高校野球の歴史は長く、夏の全国大会は第1回大会が1915年に、春の選抜大会は、1924年に第1回大会が開催されている。この1世紀の間、東北6県の全国制覇が春夏通じて一度もないわけである。

 「深紅の優勝旗白河の関を越えない」というのはただのジンクスなのだろうか。かつての東北勢は冬に雪が積もると、グラウンドで練習できず、もっぱら室内練習に限られてしまうのがハンデだったと言われていたが、現在ではその室内練習でもトレーニングを強化しているようである。現に、南北海道代表の駒大苫小牧は2004年、2005年と夏の全国大会で連覇しているのである。

 2013年にはプロ野球で、東北楽天イーグルスがリーグ優勝、そして日本シリーズも制覇し、多くの東北の人達が勇気づけられたはずである。東北勢は高校野球で優勝できないなあと思っていたら、先にプロ野球で、新規参入球団である楽天が優勝してしまったわけである。

 いつか高校野球でも、甲子園という舞台での決勝戦の後に、東北6県のどこかの高校の校歌が流れ、そして深紅の優勝旗を手にする日が訪れることを願わずにはいられない。

侍ジャパン不動の4番筒香どうした?

 先月行われたWBCで4番を務めたDeNAの筒香嘉智が今一つ本調子ではないようだ。WBCでは全7試合に出場し、25打数8安打、打点8、打率3割2分でホームランも3本打っている。

 今シーズンが始まりすでに14試合になるが、16日の対ヤクルト戦終了時の成績は、47打数12安打、打点1で打率2割5分5厘、まだホームランは出ていない。

 チームも5勝8敗1分で今一つ波に乗り切れていないようだが、プロ8年目25歳、あの侍ジャパンでもDeNAでも不動の4番を務めているベテランの復活に期待したいところだ。

 特に昨年はホームランと打点の2冠を獲得しており、WBCでも第1次ラウンドでMVPに選ばれているだけにファンの期待も大きいはずである。

 イチローを尊敬しているようであり、2009年のWBC決勝の対韓国戦の延長戦で放った勝ち越し打にずいぶん刺激されたようであり、侍ジャパンでは「国を背負って戦うことは特別であり、あの時のイチローさんを見習いたい」と述べている。しかしWBCはもう終わった事。これからも国際試合はあるわけであって、特に3年後には東京五輪、4年後には第5回WBCがあるわけだが、今はチームの19年ぶりリーグ優勝に向けてシーズンに専念してほしい。

 その不動の4番筒香が所属するDeNAの今年の順位予想であるが、週刊ベースボールの4月3日号で、野球解説者7人中5人がAクラスと予想しており、そのうち一人は1位と予想している。下馬評は決して悪くない。特に昨年はシーズン終了時点で勝率5割には届かなかったものの、初のクライマックスシリーズ進出を果たしたわけであり、今年も昨年の勢いそのままに、何かやってくれそうな気がしなくもないのである。

 特に筒香は中畑清監督時代の2014年終盤からずっと4番を務めてきたわけであるが、対照的に巨人の4番を例にすると、2015年は主に阿部と坂本の2人が、2016年は主に阿倍、ギャレット、長野の3人で担ってきた。巨人では最近では、ラミレス(現DeNA監督)が2009年と2010年に全144試合に4番でフル出場したが、その後、4番に全試合で完全定着する選手はいない。かつて王、長嶋がいた時代にも、当時の川上哲治監督は2人の調子を見ながら4番を入れ替えていたらしい。

 不動の4番打者ということで何かとプレッシャーもあるかもしれないが、4番打者としても、昨年の2冠王としても、早期の本領発揮を期待したい。

 

ダルビッシュに続くか田中将大?

 メジャーリーグで久々の朗報である。日本人投手で初勝利を挙げたドジャース前田健太投手に続いて、レンジャーズのダルビッシュ有投手が13日(日本時間14日)、敵地でのエンゼルス戦に今季3度目の先発登板で、103球を投げ7回5安打無失点10奪三振で3度目の正直となる今季初勝利を挙げたようである。

 ダルビッシュといえば一昨年2015年は怪我で登板がなく、昨年2016年、1年9か月ぶりに復帰登板を果たしたわけであるが、今から3年前の2014年には対レッドソックス戦で、9回2死まで無安打無得点に抑え、ノーヒットノーラン達成まであと一人という場面で初安打を許し、快挙を逃した経験がある。

  昨年2016年の成績は、17試合に全て先発登板し、100.1回を投げ、132奪三振防御率3.41である。

  メジャー移籍前の2011年、日本ハム時代の最後の成績は、28試合に全て先発登板し、232回を投げ、276奪三振防御率1.44と好成績を残している。

 タイトルは、メジャー移籍前の日本ハム時代に、最優秀防御率2回、最多奪三振3回、最高勝率1回、メジャー移籍後のレンジャーズで、2013年に最多奪三振を記録している。

  球界のエースと言われているだけに、今年で31歳になるダルビッシュの今後の活躍にも期待したいところだが、もう一人気になるメジャーリーガーがいる。それは日本時間で明日15日、今季初勝利をかけて登板するヤンキース田中将大投手である。田中の楽天時代最後の2013年の成績は、27試合に先発登板し、シーズン中は黒星がなかったわけである。ちなみに212回に登板し、183奪三振防御率1.27であった。ヤンキースに移籍後は、昨年2016年の成績を見ると、31試合に先発登板し、199.2回を投げ、165奪三振防御率3.07であった。

 タイトルは、楽天時代に、最多勝利2回、最優秀防御率2回、最多奪三振1回、最高勝率2回を記録している。

 ちなみにヤンキースタジアムで、6月23,24,25日と対レンジャーズ戦があり、もしかしたら両投手の投げ合いが観られるかもしれないが、先発ローテーション次第である。あるいはヤンキースもレンジャーズもともにアメリカンリーグ所属チームなので、東地区のヤンキースと西地区のレンジャーズがポストシーズンの地区シリーズやリーグ優勝決定シリーズで当たると、ポストシーズンで両投手の投げ合いが観られるかもしれない。

 ダルビッシュや田中だけに限ったわけではないが、メジャーリーグでプレーする日本人選手は、投手も野手も日本人メジャーリーガーとしての活躍を今後も期待したい。

大丈夫か日本ハム?大谷は?

 昨年の王者日本ハムが窮地に立たされている。昨日、中田不在の代役4番を務めたレアードが40打席目にしてホームランを放ち、チームの連敗を6で止めたが、今日4月13日現在で首位楽天とのゲーム差は5である。

 大谷に続いて、中田までもが出場選手登録を抹消され、チームとしては飛車と角を欠いた状態でしばらく戦わなければならなくなった。ソフトバンクと同様優勝候補と目されているだけにまさに悪夢である。

 もともと右足首を痛めていて、先日のWBCも辞退し、早ければ今月中にも中継ぎとして投手復帰もあると言われていた大谷だが、8日のオリックス戦の一回の走塁中に左大腿二頭筋を肉離れし、全治4週間と診断された。出場選手登録を抹消された9日に状況を説明した福島チーフトレーナーによると、打者としてプレーを再開できるまでに4週間程度、実戦復帰はさらに2週間を要する見込みだという。5月30日から始まる交流戦までに1軍に戻れるか現時点では微妙なだけに、3番ピッチャー大谷、あるいは4番ピッチャー大谷としての出場で「リアル二刀流」が観られるかどうか分からなくなってきた。

 また、大谷の長期離脱に米球界も騒然となっているようである。投手復帰どころか実戦から1カ月半も遠のくわけで、今回の故障はメジャー移籍に影響しないとも限らないようである。

 右足首に不安を抱えたまま開幕を迎えた大谷に対して、全力疾走と右足でベースを踏むことを禁じた栗山監督は「すべては自分の責任」と言っているが、全力疾走もできない状態にもかかわらず実戦で使い続けた誤算なのかもしれない。

 大谷に続いて、今日13日に出場選手登録を抹消された中田の長期戦線離脱が続けば、それこそチームの2連覇は遠のいてしまうわけであり、一昨日までのような連敗が続くようだと、リーグ優勝どころか、下手をすれば借金生活を強いられるわけである。

 メジャーリーグでは1世紀前に、“元祖・二刀流”のベーブ・ルースレッドソックスから移籍したことで、ヤンキースは常勝軍団となったのだから、「”21世紀のベーブ・ルース”日本の大谷を獲得せよ」とヤンキース地元メディアは報じているが、その1世紀前のヤンキースに倣いたければ、それこそチームが目標に掲げる連覇を達成してほしいものである。

 昨年のオフに契約が1年延長され、今年で6年目となる栗山監督だが、大谷、中田を含め、今後の選手の起用法が注目されることは間違いない。

ベテランの意地を見せられるか山井大介

 


2007日本シリーズ 中日対北海道日本ハム 第5戦 9回表~優勝

 昨日のオリックスの金子千尋投手に続いて、今日は12球団でいまだ勝ち星のない中日ドラゴンズのプロ16年目、38歳ベテランの山井大介投手について取り上げてみたい。

 昨シーズンの成績は、33試合に登板し、1勝8敗、防御率4.52である。今シーズンはまだ登板がないようである。

 山井と聞いて真っ先に思い出すのは、落合博満監督時代の2007年の日本シリーズでの完全試合達成目前の交代劇だろう。中日の3勝1敗で王手をかけたナゴヤドームでの日本シリーズ第5戦に先発し、8回まで走者を一人も出さず、9回にクローザーの岩瀬に交代させられ、日本シリーズでの完全試合達成という快挙を逃したわけであるが、代わった岩瀬も3人で抑え、継投による完全試合達成となったわけである。

 対戦相手は前年と同じ日本ハム。前年のシリーズでは1勝4敗と敗れた相手である。8回終了時点での点差はわずか1点で、ベンチでは続投か交代か落合監督森繁和(現監督)ピッチングコーチとの間で話し合われていたが、8回表終了時点で山井の方から森ピッチングコーチに「岩瀬さんにお願いします」と山井自ら降板を申し出たので、岩瀬に代えたそうである。もし山井が9回も行くと言っていたら、山井に続投させていたとも述べている。

 もしあの試合を落とすようなことがあったら、対戦成績は3勝2敗となり、また日本ハムの本拠地である札幌ドームに戻って、6,7戦を戦わなければならない状況にあった。そうなったら日本一にはなれなかったので、どうしても第5戦で決める必要があったと落合監督は述べている。

 そう、当時の中日は新規参入球団である楽天を除いた11球団の中で最も日本一から遠ざかっていたチームであって、日本一になり、チームとしては53年ぶりの悲願達成となったわけである。

 しかし、あの山井の交代劇に関しては、その後もマスコミをはじめ、球界で物議を醸しだしたのは言うまでもない。プロ野球ファンからすれば、多くの人が山井の完全試合達成をさぞかし見たかっただろう。しかし落合監督は個人よりも、53年ぶり日本一というチームの記録を優先させたかったわけである。

 そんな山井も2013年には対DeNA戦でノーヒットノーランを達成している。「6年前の幻の完全試合が現実になった」とかの見出しをつけていた新聞も目にした記憶がある。

 スライダーやシュートを中心に投げるが、コントロールが決してよくないと言われ続けてきた。チームは昨年に引き続き今年も最下位と下馬評が低いが、そんな下馬評を覆せるよう、38歳の右腕に期待したい。