アラフォースポーツライターの日米プロ野球コラム

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ベテランの意地を見せられるか山井大介

 


2007日本シリーズ 中日対北海道日本ハム 第5戦 9回表~優勝

 昨日のオリックスの金子千尋投手に続いて、今日は12球団でいまだ勝ち星のない中日ドラゴンズのプロ16年目、38歳ベテランの山井大介投手について取り上げてみたい。

 昨シーズンの成績は、33試合に登板し、1勝8敗、防御率4.52である。今シーズンはまだ登板がないようである。

 山井と聞いて真っ先に思い出すのは、落合博満監督時代の2007年の日本シリーズでの完全試合達成目前の交代劇だろう。中日の3勝1敗で王手をかけたナゴヤドームでの日本シリーズ第5戦に先発し、8回まで走者を一人も出さず、9回にクローザーの岩瀬に交代させられ、日本シリーズでの完全試合達成という快挙を逃したわけであるが、代わった岩瀬も3人で抑え、継投による完全試合達成となったわけである。

 対戦相手は前年と同じ日本ハム。前年のシリーズでは1勝4敗と敗れた相手である。8回終了時点での点差はわずか1点で、ベンチでは続投か交代か落合監督森繁和(現監督)ピッチングコーチとの間で話し合われていたが、8回表終了時点で山井の方から森ピッチングコーチに「岩瀬さんにお願いします」と山井自ら降板を申し出たので、岩瀬に代えたそうである。もし山井が9回も行くと言っていたら、山井に続投させていたとも述べている。

 もしあの試合を落とすようなことがあったら、対戦成績は3勝2敗となり、また日本ハムの本拠地である札幌ドームに戻って、6,7戦を戦わなければならない状況にあった。そうなったら日本一にはなれなかったので、どうしても第5戦で決める必要があったと落合監督は述べている。

 そう、当時の中日は新規参入球団である楽天を除いた11球団の中で最も日本一から遠ざかっていたチームであって、日本一になり、チームとしては53年ぶりの悲願達成となったわけである。

 しかし、あの山井の交代劇に関しては、その後もマスコミをはじめ、球界で物議を醸しだしたのは言うまでもない。プロ野球ファンからすれば、多くの人が山井の完全試合達成をさぞかし見たかっただろう。しかし落合監督は個人よりも、53年ぶり日本一というチームの記録を優先させたかったわけである。

 そんな山井も2013年には対DeNA戦でノーヒットノーランを達成している。「6年前の幻の完全試合が現実になった」とかの見出しをつけていた新聞も目にした記憶がある。

 スライダーやシュートを中心に投げるが、コントロールが決してよくないと言われ続けてきた。チームは昨年に引き続き今年も最下位と下馬評が低いが、そんな下馬評を覆せるよう、38歳の右腕に期待したい。